夏の終わりと秋の入口、パノラミック北岳

南アルプス北岳

毎年恒例となった、友との山旅。
行きたい山がたくさんで、どこに行くのか決めるのに毎年苦労するけど。
今年の山は、北岳!
去年、共に歩いた仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳から眺めて、その美しさに、
来年は必ず北岳!と決めていたのでした。

南アルプス北岳の登山道

日々の雑事に追われまくりで、余裕がない生活の中で
やっぱり秋のこの山行はご褒美。
だらりゆるり、を許してくれる友との山は、かけがえのない時間。

南アルプス北岳の登山道

南アルプスの天然水が大放流されてる、きれいな沢に沿って
南アルプスの天然水を蓄える、美しい森歩き。
耳にも目にも涼しい、瑞々しいトレイルをじっくり楽しむ。

南アルプス北岳

森の木々の背が低くなりはじめ、空が開けてきた頃。
沢沿いのガレガレ道を黙々と歩いていたら…!
大迫力の北岳どーん!
登山口の広河原から観たときは、
はるか遠くに聳えるその姿に、一日で辿りつけるか心配だったけど、
一歩一歩すすめば、確実に近づくことができるんだね。

南アルプス北岳から観た甲斐駒ケ岳・仙丈ケ岳

去年の甲斐駒ケ岳・仙丈ケ岳
その前の八ヶ岳・赤岳も、
その前の前の金峰山も、
ぜんぶみえる、なんともパノラミックなトレイル。
標高を上げるにつれて、周りの山がどんどん低くなっていく!

南アルプス北岳

肩の小屋に着いたけど、あまりの天気の良さに山頂へ。
荷物を軽くしたはずなのに、
急な岩ごろ道と、偽ピークっぽいぽっこりに、心が折れそうになりながら。

ようやく辿りついた山頂は、
ぐるりと360°の眺望で。
私たちの故郷の白馬も、天下の槍ヶ岳も、岩肌までしっかり見える驚き。

南アルプス北岳から観た富士山

みんな大好き富士山も見えたよ。
近い!
私たちが普段ベースにしている北アルプスからだと、
八ヶ岳や南アルプスに囲まれて、なんとなく富士山っぽい山、としか認識できなけれど。
北岳からだと、こんなにすっきりはっきり姿を見せてくれるんだ!
みんなの心を捉えて離さない、美しい形の富士山。
富士山が、日本で一番高い山で本当によかったよね。

南アルプス北岳

間ノ岳への稜線は、
至福の稜線歩き♪とは程遠そうな、登りごたえたっぷりめなシブさ。
計画の段階では、間ノ岳へ足を延ばすことも一瞬考えたけど、
この登りっぷりを見て、
やめといてよかったね、なんて苦笑い。
それでも、どんどん先へと続いていく稜線に心が躍るのは、
山好きみんなの共通項のはず。

南アルプス北岳ご来光
南アルプス北岳の富士山の朝焼け

十五夜明けの朝日が
雲海をうっすら染めて、一日のはじまり。
こんなに素敵な眺めからはじまる一日は、絶対良い日なはず!

昨日よりも雲多め。
厚めの雲海に他の山々が沈んでいても、
にょっきり顔を出す富士山って、ほんとに高い山なんだなー。
なんて、小学生みたいな感想を言い合いながら、
下山の道へ。

南アルプス北岳の長い梯子

びっくりするくらい長い梯子の連続。
3,000m越えの山へと続く登山道とは思えないほどの、
しっかりした木製の梯子がたくさん続いて、
束の間のアスレチック感覚を楽しめるよ。

南アルプス北岳バットレス

バットレスの圧倒的な存在感に気圧されて、
なんでこんなところ登ってみようって思ったんだろ?!と
先人の偉業に思いを馳せる。
クライマーを見つけられないかな、と目を凝らしたり。

南アルプス北岳

一年越しの約束が叶った、北岳への旅。
覚えた言葉は、南プス。
応用編は、北プス、中プス。
相変わらず、くだらないことばっかり喋って、
自分たちの語彙力の薄さに、笑い通しの山旅。

少しずつ変化していく日常の中にいて、
来年もその先も同じことなんて、きっとない。
それでも、一緒に重ねてきた山旅と
一緒に眺めてきた景色は、
いつまでも心の中であっためておきたい、とっておき。

今年もありがとう。