紅葉の色が、どんどん下りてきて、秋が深まる頃。
友とふたりで山へでかけた。
ずっとずっと、なにかのための山登りばかりで、息が続かなかったから。
シーズン終盤のこの山行を、すごく楽しみにしてきたんだ。
八ヶ岳は初めての友、久しぶりのあたし。
行き先をざっくり八ヶ岳に決めた後、どんな山にしよう、と散々迷って、
美濃戸口から周回する、黄金ルートを行くことに決めた。
沢沿いに、静かな森歩きを楽しみ、
晴れゆく空に期待しつつ、着いた赤岳鉱泉。
でも、稜線にはなんだか腰が重たそうな雲が。
願わくば、晴れてー!
赤岳鉱泉を過ぎると、有無を言わさず、がっつりと登らされる、森の中の道。
ひたすら喋って喋って、変なタイミングで日焼け止めを塗って、また喋って。
うっかりカモシカを見逃しかけたり。
うっかりカモシカをイノシシと間違えたり。
しっかりと登らされたけど、それでも、どんどんと稜線が近くなってくる喜び!
あの雲たちも、すっかりいなくなって、まさに最高のタイミングってやつ。
稜線に出ると、そこは広ーい硫黄岳の山頂。
爆裂火口!
これが言いたくて、言いたくて。
爆裂火口!爆裂火口!と何回も繰り返しては、子供みたいにはしゃぐ。
日本じゃないみたい。地球じゃないみたい。そんな景色。
アドベンチャー感満載の道を行く。
鎖場も岩場も梯子も、ほどよく配置されていて、歩きがいのある道。
そんな道が好きな友は、楽しそうな顔で進む。
絶景を常に眺めながらの稜線歩きは、至福の時。
ずっとずっと歩いていける。
今日も明日も、山の上にいられる。
そんな気持ちで、幸せに満たされる。だから、縦走お泊まり登山って大好き。
今回は、赤岳天望荘さんに泊まらせてもらったよ。
赤岳を目前に望む、抜群のロケーションのお宿。
ごはんもおいしくて、コーヒーもお茶も飲み放題なんて、ありがたすぎるお宿。
お世話になりました。
朝焼けも、街の灯りもきれいだよ!
と、友はうれしそうに、外へと飛び出していく。
朝日が昇る瞬間も好きだけど、
これから朝を迎えるよ、って時間の、染まっていく空も好き。
太陽がいつ顔を出すかな、とみんなで楽しみに待つひととき。
おんなじ景色を黙ってみつめる間に生まれる、一体感とフレンドリーな感情。
これって、街の中じゃなかなかみつけられない気持ち。
朝日が出た後、一瞬で赤く染まるんだよ、って教えてもらって、
今度は、みんなでそちらの方向をみつめる。
ファインダー越しの方が、きれいに赤く見えて、みんなで思わず笑いあったり。
太陽が出ると、途端に空気があたたまって、冷えた身体がほぐれてく。
おひさまのパワーって、ほんとにすごい。
こうやって、一日を始められることに感謝。今日も楽しい一日になりますように。
いよいよ八ヶ岳の主峰・赤岳へ。
昨日、
朝イチであそこ登るのか…!
すっごい急登だね…!
ってか、むしろ這いつくばって登ってるよね…!
と震えながら観察した、赤岳への直登。
這いつくばりゾーンは、ほんとに、急な斜度だったな。
やったね!赤岳!!!
去年、彼女と登った金峰山から眺めてた八ヶ岳。
その主峰にふたりで来れたことがうれしいな。
今年も、ありがと。
赤岳からの下りは、これまたアドベンチャー。
そのまま美濃戸口へ下るのもアリだけど、
まだまだ元気いっぱいなあたしたちは、阿弥陀岳へ。
空へと続くような梯子。
がつん、と急激に高度をあげながら登る、阿弥陀岳。
厳しいけど、短時間でがっつり高度を稼げるから、振り返った時の感動もひとしお。
阿弥陀岳から下ってくる人みんなが、
最高の景色が待ってるよ、
と教えてくれるから、期待もひとしお。
赤岳と富士山と友。
北アルプスからだと、ふんわりとしかわからない富士山。
こんなに大きく、近くに見えるなんて。
阿弥陀岳から見る富士山が、この山旅でいちばん整って美しく見えたよ。
白馬も、槍ヶ岳も、妙高の方面も、御岳も、中央や南アルプスも(そして赤岳からは剱岳も)、
まさに360°のパノラマ。
おまけに、雲の天体ショーつき。
なんて贅沢な山の時間なんだ。
遠くからでも、白馬の山を観ると、うれしくなるあたしたち。
昨日歩いた道も、全部見えてる。
ぐるりと歩いて、ここまで来た。
人間の足ってすごい…!
八ヶ岳も、標高の高いところは、秋の終わりを感じる景色。
葉っぱがある時も、紅葉の時も、幹だけの時も、いつでもダケカンバは絵になるね、と友。
稜線からは、これまた一気に高度を下げる森歩き。
有無を言わさず、がんがん下らされて、一気に雰囲気が変わる。
魅惑の苔の森。
苔×キノコのフォトジェニックスポットを探しながら、森歩き。
あれ。これ去年もやってたような気がするよ。
あたしたちが求めた、赤に白いドット柄のキノコには出会えなかったけど、
キノコをみつけるたびに大騒ぎして、写真を撮って、
一向に進まない、苔の森歩き。
一緒に登るのは、一年ぶりだったけど、
それでも変わらずに、楽しい時間をありがとう。
楽しいことも、寒さも、風も、美しい景色も、ぜんぶ一緒に共有できた友のありがたさ。
八ヶ岳の最高の思い出は、きっとこれからも、あなたの楽しそうな顔と一緒に思い出すよ。
ありがとう、また山でね。