夏ってばあっという間に過ぎ去って、
気づけば秋ももう深みへ。
この季節恒例の、友との山旅へ。
なにがきっかけで始まったのか、もう覚えてないけど、
この時期に、この、だらりゆるりとした山旅が待ってる!と思うと、
夏の過酷も頑張れちゃう不思議。
今年は南アルプスだよ。
ベースキャンプ方式にして、贅沢キャンプを楽しみつつ、
甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳へ登っちゃおうという、ゴールデンルート。
バスに揺られて登山口へ。
上高地もそうだけど、公共交通機関で山に入るってのが新鮮で、
それだけでなんだかはしゃげる。
ベースキャンプとする長衛小屋までは、バス停から10分ちょい。
テント泊用の大きなザックは諦めて、日帰りサイズザック+手提げという、
山なめてますねスタイルで。
テントを張ったところで、
なんだかこのまままったりしちゃってもいいね、
なんて気になりかけるけど、
気持ちを立て直して、仙丈ケ岳へと向かう。
ふだんふたりがベースにしてる北アルプスは、
森歩きのイメージがあんまりないから、
秋にこうして南の山を歩くと、いつも森の深さに驚かされる。
北岳のあまりの近さ!
え、こんなに近いんだっけ?!
むしろ北岳じゃないんじゃない?!
なんて適当なことを言いながら、ぐんぐん標高を上げてく。
地図をみて、少しでもしんどくない道で、と
馬の背からぐるりと仙丈ケ岳を目指してみることに。
深い森歩きを抜けると急に、アルプス感溢れる美しい稜線が広がる。
かっこいいねー!
と、
まだまだ遠いねー!
を交互に繰り返しながら、ピークへと。
かっこいいはずのピークは、霧の中。
なんにも見えないねー!と大笑い。
あたしたちが避けた、小仙丈ケ岳経由の方が眺望が良かったらしい、
という衝撃の事実も入手し、
ならば、と帰りは小仙丈ケ岳から下山へ。
教えてもらった通り、北岳が大迫力。
裾広がりの稜線がきれいで、
あまりの美しさに、来年は北岳に登ろう、と約束を交わす。
山で見た山に心惹かれたり、
山の上から今まで登った山を眺めたり。
こうやって思い出が増えてくのってうれしいこと。
霧の中から、明日登る甲斐駒ケ岳。
かっこいいなー。
でもあっちも遠くて高いね。
夕ごはんは、友が作ってくれたおいしいすき焼き。
なんて贅沢…!
山でさっと準備をしてくれる友がかっこよくて、憧れる。
能力のないあたしは、お酒担当。
小雨も降り始めたし、と明日登ることは半分諦めて、
たくさん飲んでたくさん喋って。
この一年いろんなことがあったね。
それでも変わらず、楽しくお喋りできる幸せ。
***
登らない気でいたけど、起きたら思ったより晴れ。
なら登るでしょ、といそいそ甲斐駒ケ岳へ。
きれいな沢を横目に、ぐんぐん高度を上げて。
岩の海も越えて。
辿り着いた仙水峠からは、眼下に一面の雲海。
鳳凰三山の後ろから、笠雲をかぶった富士山も!
何回も後ろを振り返っては、雲と山々の景色を眺め眺め。
どんどん迫りくる、甲斐駒ケ岳。
花崗岩の白さが眩しいね。
近いのにまだ遠い。なんだかもどかしい存在。
すごい勢いの風と雲に見舞われ、またもやピークはどんどん霧の中へ。
でもおかげでブロッケン現象に出会えたよ。
強風と濃霧で、昨日に引き続き、なんにも見えないピークに大笑い。
こんな日だって、笑えちゃうのは、
やっぱりひとりじゃないから。
しょうがないね!と一緒に笑ってくれる友がいるから。
寒ーいピークは早々に撤退して、
樹林帯に入れば、山は晩秋の装い。
行きは気づきもしなかった奇岩が、
角度を変えたら見えてきて。
そんな発見があるから、山ってピーク以外も楽しい。
岩岩しい破線ルートと、荒々しい山稜の鋸岳に興味深々な友。
その鋸岳に引っかかる雲に興味津々なあたし。
仙丈ケ岳も甲斐駒ケ岳も、登り応えのある山だったな!
ベースキャンプ方式の今回、
ゆるキャンプと登山、なんて思ってたけど、
下りてから考えてみれば
ハード気味な日帰り登山を二日連続ってわけで、
なかなかタフな山行ではあったわけです。
そして、下りてからその事実に気づく、浅はかなあたしたし。
それでも、
やっぱり今年も変わらずに、愉快な山だったよ。
年取ったよね!なんて実感しながら、
毎年、相も変わらずあなたと登る山は楽しくて美しい。
適当さに磨きをかけて、来年も登ろうね。
ありがとう。